フェルミ粒子とボース粒子の波動関数

すべての粒子はフェルミ粒子(フェルミオン)とボース粒子(ボゾン)に分類できる。
ここでは、二つの同種粒子を交換してみて、その波動関数の形について考えてみよう。

同種の2粒子がつくる波動関数

同種の2粒子が存在していて、その波動関数を\(\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)\)としておく。また、この二つの粒子の位置を交換する演算子を\(\hat{T}\)とする。
このとき、2粒子は同種なので区別ができず、次のように書くことができる。(\(\alpha\)は定数)
$$\hat{T}\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)=\alpha\psi(\boldsymbol{r}_2,\boldsymbol{r}_1)\tag{1}$$

ここで、交換演算子\(\hat{T}\)を二回作用させてみよう
$$\hat{T}\hat{T}\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)=\hat{T}\alpha\psi(\boldsymbol{r}_2,\boldsymbol{r}_1)=\alpha^2\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)$$
交換演算子\(\hat{T}\)を二回作用させるということは、粒子をに回入れ替えて、元に戻っていることになっているのだから、
$$\hat{T}\hat{T}\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)=\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)\tag{2}$$
の式になるべきである。

(1)式と(2)式を見比べると
$$\alpha^2=1$$
$$\alpha=1,-1\tag{3}$$
つまり、粒子の入れ替えに対して、1倍されるだけのタイプの粒子と-1倍されるタイプの粒子の2種類があることがわかる。(\(1=e^{i0},-1=e^{i\pi}\)であるから、粒子の入れ替えに対して位相を変えない粒子と位相を\(\pi\)変える粒子とみることもできる。)

今度は、同種の2粒子の相互作用が弱い状況に限定して、それぞれ状態\(\psi_1,\psi_2\)を占めている場合を考える。
このとき、\(\psi_1(\boldsymbol{r}_1)\psi_2(\boldsymbol{r}_2)\)と\(\psi_1(\boldsymbol{r}_2)\psi_2(\boldsymbol{r}_1)\)はどちらもシュレディンガー方程式の固有関数になりうるので、2粒子が作る波動関数\(\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)\)はこれらの線形結合で書けるはずである。(3)式と規格化条件を考慮して書くと、
$$\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)=\frac{1}{\sqrt{2}}\lbrace \psi_1(\boldsymbol{r}_1)\psi_2(\boldsymbol{r}_2)\pm\psi_1(\boldsymbol{r}_2)\psi_2(\boldsymbol{r}_1)\rbrace$$

このように、右辺2項目が+の波動関数と-の波動関数の2パターンが現れたが、
+になるような粒子をボゾン、-になる粒子をフェルミオンと呼ぶ。

パウリの排他率

2つの粒子がどちらも同じ状態、つまり\(\psi_1=\psi_2\)の状況を考えてみよう。

・フェルミオンの場合
その波動関数は次のようになる。
$$\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)=\frac{1}{\sqrt{2}}\lbrace \psi_1(\boldsymbol{r}_1)\psi_1(\boldsymbol{r}_2)-\psi_1(\boldsymbol{r}_2)\psi_1(\boldsymbol{r}_1)\rbrace=0$$
この式は、同じ状態のフェルミ粒子が2個あると、その波動関数は0になることを意味している。つまり、フェルミ粒子は同時に同じ状態を占有できないのである。これをパウリの排他率という。

・ボゾンの場合
その波動関数は次のようになる
$$\psi(\boldsymbol{r}_1,\boldsymbol{r}_2)=\frac{1}{{2}}\lbrace \psi_1(\boldsymbol{r}_1)\psi_1(\boldsymbol{r}_2)+\psi_1(\boldsymbol{r}_2)\psi_1(\boldsymbol{r}_1)\rbrace\neq0$$
この式は、同じ状態のボース粒子が2個あると、その波動関数は0にならず、ボース粒子は同時に同じ状態を占有できることを意味している。

この違いが、統計性に大きな違いを生み出し、フェルミ縮退やボース・アインシュタイン凝縮といった特徴的な現象を引き起こす。

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